「ゴールデンウィークのこと」

 小生の父母の墓は谷中の妙情寺にある。しかし「芳賀家先祖代々の墓」は染井(ソメイヨシノ発祥の地)の善養寺にあり、父方の祖父や、伯父夫婦らがこっちの墓に眠っている。ところが伯父夫妻には子供がいなかったので、この墓のケアは、いまはわたしがやっている。つまりわたしはふたつの寺の檀家という立場にあり、少しは寺との付き合いもせねばならぬ。墓参りはもちろん、ときには布施を納めたり、ときにはお会式(おえしき)の会に出席したりするなど、それらのことを両方の寺に対してやらぬねばならず、けっこう面倒くさい。
 そしてこのゴールデンウィークには、4日に谷中の妙情寺で母の13回忌を、5日には染井の善養寺で伯母の33回忌を、と2日連続での法要をおこない、メチャクチャ忙しかった。そのため京都在住の長男夫婦が孫を連れて上京するし、加えてわたしの妹夫妻や、妹の長女一家や、そしてわれわれ夫婦を含めた計12名の芳賀一派が、寺の本堂で、揃って住職の経を聴き、焼香し、それぞれの墓には10本ほどの新しい塔婆を立てた。それらのことはすべて一年ほど前に立てた計画の通りで、このゴールデンな時期に、ふたつの寺の坊さんの予定をゲットするのには、せめて一年ぐらい先でなきゃ難しかろうと考えてのことだった。さいわい坊さんたちの予定は確保でき、しかも当日は、雲ひとつない好天に恵まれ、おかげで良い法要ができたとと思っている。
 ちなみに今回の一件で使ったカネは、お清め代や、タクシー代や、塔婆代や、お布施代など、何からなにまでをぜんぶ含めて計約85万円だった。
 やれやれ‥。

染井の善養寺にて。

「勝手口の張り紙」

 TH(トーキングヘッズ叢書)No.102が発売になった。もちろんAmazonでも買えます。ぜひお求めを。
 今号におけるわたしのコラム・はがいちようの世界では「ある家の勝手口」と題して、勝手口に貼った張り紙について述べている。
 そもそもこの家は売れないマンガ家が住む粗末な一軒家であり、わたしはおなじ設定で過去に5回おなじ作品をつくった。最初は「庚申塚の借家」という題名でつくり、2作目と3作目は「あるマンガ家の住居」という題でつくり、4作目と5作目は「青春の北池袋」という題でつくった。
 そして張り紙だが、最初はあまり深く考えず「ひったくりにご用心」という池袋警察署の標語をそのまま使った。しかし2作目以降は「絶対にこの土地と家は売りません」バージョンに切り替えた。すると一作目の題名である「借家」という設定が成り立たなくなり、仕方なく2作目以降は題名をチェンジせざる得なくなった。そうして「借家」が「あるマンガ家の住居」へと変わった。その後タイトルは更に「青春の北池袋」へと変わっていくのだが、張り紙の文言は最後まで「土地と家は売りません」のまま続いた。
 もともとの発端は2001年5月に「1/15トキワ荘」をつくり終えたとき、屋根瓦が数百枚あまってしまい、その廃物利用のために1作目の家「庚申塚の借家」をつくった(縮尺1/15)。それを見た当時の生徒たちから、わたしたちもつくりたいというご要望があったので、教室の課題作として2作目をつくり、やがて3作目、4作目とだんだんと数がふえていった。
 ギャラリーの来場者からは「東屋」とともに常に一位の人気を得ていた作品だったが、今年の春、最後の一点が売れてしまい、残念ながら今はもう見ることができない。

「TH(トーキングヘッズ叢書)No.102」より

「モンパルナス16」

 このところ倉庫の整理にいそしんでいる。するととんと開けたことのない小さな作品の木箱がけっこうあって、一体なんの箱だろうと開けてみると、すっかり忘れていた未完の作品が出てきたり、見たとたん駄作とわかる作品がニョキッと顔を見せたりする。それら不要な作品はジャマなのでスタジオに持ち帰り、粉々に粉砕し、ゴミの袋に詰めて棄てた。最近そんなことばっかりやっている。しかしときにはハッとする傑作を見つけることもあって、下の写真はそのひとつ。小品ながら漆黒のフレームが美しく、全体的によくまとまっている。
 このごろは、よもぎ色とでもいうのか、薄い黄みどり色の、明るい色調のフレームを取り付けることが多く、こんな真っ黒なフレームはもう10年以上つくっていない。だから特に新鮮に感じるのかも、である。
 作品題名は「モンパルナス16」。
 この作品は、ぼくのアートインボックス教室において初心者が最初につくる課題作だったことがあり、ぼくも見本としていくつかつくった。中でも特に出来のいい一品だ。
 以前だったら即イエサブへ持っていき、自分の棚に並べただろうが、イエサブはもうない。かといってしまっておくのは勿体無いので、とりあえずGallery ICHIYOHに展示することに。
 ちなみに値段は98,000円(税込)とした。格安です。
 だれか嫁にもらってくれるひと、いないかなあ。

※Gallery ICHIYOH : 東京都北区中里3-23-22/入場料100円/午前10:00〜午後6:00/あらかじめメールでご予約の上おでかけください/連休中の5/4日と5日は休業とさせていただきます。

モンパルナス16・1/12スケール・130×200×400㎜

「誕生日」

 4/13日が誕生日だった。はやいものでわたしもとうとう喜寿(77歳)を迎えてしまい、傘寿(さんじゅ/80才)ももう目の前だ。近所の大学病院で毎年人間ドックの検査を受けているが、いまのところこれといった病状は発見されておらず、まあ、いちおう健康ってことらしい。
 されどわたしの場合、もともと脊椎のカタチが悪いので、若いころから腰痛に悩まされていて、そのことで過去に2度の手術を受けた。2度目が去年の8月だったが、それから6ヶ月以上が経ち、おかげで腰の痛みはほぼ無くなったものの、手術の際に身体に埋め込んだ各種金属類の収まり具合が悪く、いまだに、そうとう気分が悪い。
 それと、わたしは狭心症でもあり、これも過去に2回の手術を受け、心臓の冠動脈に2個のステント(金属の輪のようなもの)が入っている。さらに数年前にはご多分に洩れず白内障になってしまい、目の手術も受けた。加えて耳も、60代の中ごろから急に聞こえが悪くなり、今やトホホの補聴器暮らしである。
 まあそんなわけで、この歳になると、目も耳も、腰も、心臓も、どこもかしこも満身創痍の状態だ。
 そんなになりながらも、まだちゃんと生きているという丈夫な身体に産んでくれた、今は亡き母にまずは感謝の気持ちを伝えたい。そして家族に。それとSNSに届いている沢山のハッピー・バースデー・メッセージに、Thank You So Much ! と答えたい。
 みなさんありがとう!!
 まだ生きてます!!

写真は娘からの贈り物。

「クラブ例会のこと」

 先月の22日にうちのクラブ(渋谷クラフト倶楽部)の例会があった。わたしは顔出しできなかったので、クラブの山野会長に「なにかレポートを書いてよ…」と頼んだところ下のような一文を書いて、送ってくれた。なお当日の講師も山野氏(下の写真のチェック柄シャツの人)がひとりで務めてくれた。
 ——–山野さんありがとう!!!

 以下、山野文です。
 昨年の11月の「ノエカフェ訪問」以来の久々の例会です。今回はいつもの千駄木の町内会集会場での自習会です。内容は「3Dプリンター実践編」。予定では私の「入門編」+沼津のユウさんに「データを生成AIを使って作る」「iphoneで立体スキャン」など、最新のことを披露してもらうつもりでしたが、ユウさんの都合が悪くなり、「入門編」だけを3Dプリンター持ち込みでじっくり実演しました。
 作例は芳賀先生の「Carl Froseth Store」の馬具のパーツです。以前は樹脂粘土や真鍮で作っていたものを彫造(zbrush)や3Dcad(fusion)ソフトでデータ作成してプリントしてみました。アプリは無料体験版でなんとかなりますし、3Dプリンターも3万円台で買えますので、お手軽に造れる時代になりました。
ただし、3D出力しただけでは質感がいまいちだと思い、ティッシュを使った革部分の仕上げなどの手作業は残していて、これも実演しました。
 集まったのは11人で、少なめかなと思いましたが、嬉しいことに初めて人が6人も!皆さん熱心でたくさん質問してくださったり、情報交換したりして盛り上がりました。
 今年は秋に作品展もあるので、多めに例会を開きたいです。ぜひ倶楽部のみなさんの得意技の披露(外部の方紹介も)をお願いします!
 ——-とのことでした。

「お知らせ」

 わたしの活動は、いままでずっと法人(株式会社ミクロコスモス)としてやってきましたが、いつのまにかわたしも後期高齢者の身となりましたので、本年の3月末日をもって、法人としての活動はすべて終了することにいたしました。(つまり会社をたたんだということです)。
 と言っても、体力が続く限り、これからも今まで通りの活動を続けて行こうと考えておりますので、今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
   つきましては4月1日以降わたし宛の振込先が変わります。
 新振込先: 三井住友銀行 大塚支店 普通預金 1857345 ハガ イチヨウ、です。
 ———どうぞよろしく。

「第7次ブーランジェリー教室」

 以前2月の投稿で、第5次ブーランジェリー教室が終了したと書いたが、そのあとを受けて、さっそく第7次のブーランジェリー教室がつい先日、3月23日にスタートした。5次のあとは6次じゃないの…と、言われそうだが、6次の方々は、ただいま別グループとして絶賛継続中なので、5次が終わったら次は7次ってことになる。ここ数年、もう年がら年中ブーランジェリーばっかりやってる感覚だ。
 しかし今回のように、初回で、且つぼくの教室ははじめてという参加者がいらっしゃる場合、いまだにけっこう緊張する。あれをやってこれをやってと数日前からネタの準備をし、材料や道具がちゃんと揃っているか何度も確認し、当日披露するパフォーマンスの予習と練習をやって、しゃべることを考える。一回3時間半(13:30〜17:00)の長講座なので時間配分も肝心だ。あんまり沢山のネタを詰め込みすぎて、時間をはみ出してしまうのはまずいし、かといって早く終わりすぎるのも問題だ。
 そういったことをあれこれ反芻しながら、前の晩に酒を飲んでいたら、もしかしたらあしたは30分ばかりネタ不足になるのではないかとにわかに心配になった。それで当日の朝、急遽小ネタを一個追加したところ、ちょうどピッタリの時間に終えることができた。やれやれ、である。
 終了する数分前に
「あっ、写真を撮り忘れた…」
 と、みんなに並んでもらって、下の写真を撮った。

 左から: オウ・コクさん、スズキ・カツヤさん、ニシハシ・マキさん(新人)、ヒラタ・リエさん(新人)、ミネギシ・ケイタ(新人)さん、マガラ・ヤストシさん、サトウ・ジュンコさん、ナカコ・ユキコさん、です。