「モンパルナス16」

 このところ倉庫の整理にいそしんでいる。するととんと開けたことのない小さな作品の木箱がけっこうあって、一体なんの箱だろうと開けてみると、すっかり忘れていた未完の作品が出てきたり、見たとたん駄作とわかる作品がニョキッと顔を見せたりする。それら不要な作品はジャマなのでスタジオに持ち帰り、粉々に粉砕し、ゴミの袋に詰めて棄てた。最近そんなことばっかりやっている。しかしときにはハッとする傑作を見つけることもあって、下の写真はそのひとつ。小品ながら漆黒のフレームが美しく、全体的によくまとまっている。
 このごろは、よもぎ色とでもいうのか、薄い黄みどり色の、明るい色調のフレームを取り付けることが多く、こんな真っ黒なフレームはもう10年以上つくっていない。だから特に新鮮に感じるのかも、である。
 作品題名は「モンパルナス16」。
 この作品は、ぼくのアートインボックス教室において初心者が最初につくる課題作だったことがあり、ぼくも見本としていくつかつくった。中でも特に出来のいい一品だ。
 以前だったら即イエサブへ持っていき、自分の棚に並べただろうが、イエサブはもうない。かといってしまっておくのは勿体無いので、とりあえずGallery ICHIYOHに展示することに。
 ちなみに値段は98,000円(税込)とした。格安です。
 だれか嫁にもらってくれるひと、いないかなあ。

※Gallery ICHIYOH : 東京都北区中里3-23-22/入場料100円/午前10:00〜午後6:00/あらかじめメールでご予約の上おでかけください/連休中の5/4日と5日は休業とさせていただきます。

モンパルナス16・1/12スケール・130×200×400㎜

「誕生日」

 4/13日が誕生日だった。はやいものでわたしもとうとう喜寿(77歳)を迎えてしまい、傘寿(さんじゅ/80才)ももう目の前だ。近所の大学病院で毎年人間ドックの検査を受けているが、いまのところこれといった病状は発見されておらず、まあ、いちおう健康ってことらしい。
 されどわたしの場合、もともと脊椎のカタチが悪いので、若いころから腰痛に悩まされていて、そのことで過去に2度の手術を受けた。2度目が去年の8月だったが、それから6ヶ月以上が経ち、おかげで腰の痛みはほぼ無くなったものの、手術の際に身体に埋め込んだ各種金属類の収まり具合が悪く、いまだに、そうとう気分が悪い。
 それと、わたしは狭心症でもあり、これも過去に2回の手術を受け、心臓の冠動脈に2個のステント(金属の輪のようなもの)が入っている。さらに数年前にはご多分に洩れず白内障になってしまい、目の手術も受けた。加えて耳も、60代の中ごろから急に聞こえが悪くなり、今やトホホの補聴器暮らしである。
 まあそんなわけで、この歳になると、目も耳も、腰も、心臓も、どこもかしこも満身創痍の状態だ。
 そんなになりながらも、まだちゃんと生きているという丈夫な身体に産んでくれた、今は亡き母にまずは感謝の気持ちを伝えたい。そして家族に。それとSNSに届いている沢山のハッピー・バースデー・メッセージに、Thank You So Much ! と答えたい。
 みなさんありがとう!!
 まだ生きてます!!

写真は娘からの贈り物。

「クラブ例会のこと」

 先月の22日にうちのクラブ(渋谷クラフト倶楽部)の例会があった。わたしは顔出しできなかったので、クラブの山野会長に「なにかレポートを書いてよ…」と頼んだところ下のような一文を書いて、送ってくれた。なお当日の講師も山野氏(下の写真のチェック柄シャツの人)がひとりで務めてくれた。
 ——–山野さんありがとう!!!

 以下、山野文です。
 昨年の11月の「ノエカフェ訪問」以来の久々の例会です。今回はいつもの千駄木の町内会集会場での自習会です。内容は「3Dプリンター実践編」。予定では私の「入門編」+沼津のユウさんに「データを生成AIを使って作る」「iphoneで立体スキャン」など、最新のことを披露してもらうつもりでしたが、ユウさんの都合が悪くなり、「入門編」だけを3Dプリンター持ち込みでじっくり実演しました。
 作例は芳賀先生の「Carl Froseth Store」の馬具のパーツです。以前は樹脂粘土や真鍮で作っていたものを彫造(zbrush)や3Dcad(fusion)ソフトでデータ作成してプリントしてみました。アプリは無料体験版でなんとかなりますし、3Dプリンターも3万円台で買えますので、お手軽に造れる時代になりました。
ただし、3D出力しただけでは質感がいまいちだと思い、ティッシュを使った革部分の仕上げなどの手作業は残していて、これも実演しました。
 集まったのは11人で、少なめかなと思いましたが、嬉しいことに初めて人が6人も!皆さん熱心でたくさん質問してくださったり、情報交換したりして盛り上がりました。
 今年は秋に作品展もあるので、多めに例会を開きたいです。ぜひ倶楽部のみなさんの得意技の披露(外部の方紹介も)をお願いします!
 ——-とのことでした。

「お知らせ」

 わたしの活動は、いままでずっと法人(株式会社ミクロコスモス)としてやってきましたが、いつのまにかわたしも後期高齢者の身となりましたので、本年の3月末日をもって、法人としての活動はすべて終了することにいたしました。(つまり会社をたたんだということです)。
 と言っても、体力が続く限り、これからも今まで通りの活動を続けて行こうと考えておりますので、今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
   つきましては4月1日以降わたし宛の振込先が変わります。
 新振込先: 三井住友銀行 大塚支店 普通預金 1857345 ハガ イチヨウ、です。
 ———どうぞよろしく。

「第7次ブーランジェリー教室」

 以前2月の投稿で、第5次ブーランジェリー教室が終了したと書いたが、そのあとを受けて、さっそく第7次のブーランジェリー教室がつい先日、3月23日にスタートした。5次のあとは6次じゃないの…と、言われそうだが、6次の方々は、ただいま別グループとして絶賛継続中なので、5次が終わったら次は7次ってことになる。ここ数年、もう年がら年中ブーランジェリーばっかりやってる感覚だ。
 しかし今回のように、初回で、且つぼくの教室ははじめてという参加者がいらっしゃる場合、いまだにけっこう緊張する。あれをやってこれをやってと数日前からネタの準備をし、材料や道具がちゃんと揃っているか何度も確認し、当日披露するパフォーマンスの予習と練習をやって、しゃべることを考える。一回3時間半(13:30〜17:00)の長講座なので時間配分も肝心だ。あんまり沢山のネタを詰め込みすぎて、時間をはみ出してしまうのはまずいし、かといって早く終わりすぎるのも問題だ。
 そういったことをあれこれ反芻しながら、前の晩に酒を飲んでいたら、もしかしたらあしたは30分ばかりネタ不足になるのではないかとにわかに心配になった。それで当日の朝、急遽小ネタを一個追加したところ、ちょうどピッタリの時間に終えることができた。やれやれ、である。
 終了する数分前に
「あっ、写真を撮り忘れた…」
 と、みんなに並んでもらって、下の写真を撮った。

 左から: オウ・コクさん、スズキ・カツヤさん、ニシハシ・マキさん(新人)、ヒラタ・リエさん(新人)、ミネギシ・ケイタ(新人)さん、マガラ・ヤストシさん、サトウ・ジュンコさん、ナカコ・ユキコさん、です。

「佐野製人力車」

 2/13日付けで投稿した「明治の人力車」という記事の中で、うちのクラブの佐野匡司郎氏が製作した人力車について触れ、私がつくったものよりも遥かに優れていると絶賛したことがあった。それを読んだ読者から「ぜひ佐野さんの人力車を見たい」という声があり、せめて写真だけでもと、下にその写真を掲載することにした。(なおこの写真は当サイトWorks Galleryの「伊東屋創業店舗」というページに掲載されている写真とおなじものです。)
 佐野さんは私より13歳年長だが、1998年の春、新宿で開催された「芳賀展」で私のことを知り、同年秋から、私の工作教室の生徒として参加することになった。金属製の機関車(HOゲージ)をすべて自作してしまうほど金属工作に長けた方だったので、2004年に「伊東屋」をつくるとき、店頭に置く人力車の製作を「すべてお任せしたい…」とお願いしたところ、やがて彼は目の覚めるような一品をつくって持ってきてくれた。
 佐野製人力車も、芳賀製も、どちらもおなじ図面からつくられているので、かたちはほぼおんなじ。だが、なんといっても佐野製は幌がスゴイ。幌布の質感がバッチリ出ているのだ。どうやったらあんなふうに布を張れるのか、一度聞いたことがあったが、それでもよくわからなかった。(ちなみにわたしの幌はビニール製だ)。それと、写真ではチラッとしか見えないが、座席のフカフカ感がこれまたスゴイ。私のはレジン樹脂を固めただけの硬い座席だが、佐野さんのはちゃんと中にあんこを詰めて、それを薄い布カバーで覆った本格的なもの。
 また、塗装に関しても、彼は丹念にカラースプレーを吹いて全体を暗緑色にまとめているが、私のは真鍮色のまま、なんにも塗っていない、等々、どこもかしこも佐野製は、遥かに芳賀製を上回っている。
 以上、佐野製人力車は、銀座伊東屋11階で展示中の「伊東屋創業店舗」(1/12)の店頭に置いてあるので、実物を見たいとおっしゃる方は、ぜひ一度そちらでご覧になってください。

佐野匡司郎氏作による人力車/縮尺12分の1

「行ってきました」

 3月8日に「ドールハウスフェスタ」へ行ってきました。
 会場は浜松町都立貿易センター3階の展示室。今回は3階の全フロアーを使っての開催だったが、前回の2倍(460坪)の広さだそうだ。ちょっと広すぎるんじゃないかと心配していたところ、けっこう客が入っていたのでビックリ。まあ初日の午後3時というもっとも盛り上がる時間帯だったので、当然と言えば当然であろうが。
 当日会場でお会いし、ご挨拶させていただいた方々は: カトウノ・ノゾミさん、イトウ・ジュンコさん、故フルハシ・イサコさんのご主人、クラバヤシ・ススムさん、スズキ・カツヤさん、カネコ・タツヤさん、ユウコリンさん、アンドウ・ヤスヨさん、モリタ・ナナさん、イッシキ・ミヨコさん、ノエちゃん、チュウボウアンさん、アイサワ・カズコさん、アサイ・ジュンイチさん、ワタナベ・トモミさん、タカハシ・トシアキさん、ツチヤ・シズカさん、and ヨシダ・トモヒコさんたち、だった。(抜けている人がいたらごめんなさい)。

 ひと通り見てまわり、そろそろ帰ろうかと会場の出口付近でお茶を飲んでいたら、京都のドールハウス系出版社「(株)亥辰舎」の社長兼カメラマン浅井潤一氏とバッタリお会いし、ヤアヤア…と、いきなり盛り上がった。彼は2019年に目黒区自由が丘で「東屋(あづまや)制作教室」をスタートしたときから、毎回の講座にあわせて京都から駆けつけ、ぼくの教室を密着取材し、ゆくゆくは「東屋のメイキング読本」を出版するつもりで頑張っていたお方である。ところがこの講座が去年の3月に終了してから以降、彼からはなんの連絡もなく、一度もお会いしていなかった。
 なのでメイキング本のことはすっかり忘れ、もう脳裏に浮かぶことさえなかったのだが、彼の顔を見たトタン急にそのことを思い出した。当然彼もそうだろう。浅井氏はこっちがほとんどしゃべらぬうちにあーだこーだと機関銃のようにしゃべりだし、要はいま猛烈な勢いで編集作業をぶちかましている最中で、実はわからないところがいくつか出てきた。
「そのへんを一度お尋ねに伺うかもしれません」
 なんて仰っしゃるのだ。
 ウソを言っているようにも思えなかったので、そのうち本当に「東屋本」がリリースされるのかもしれない。ま、あんまり売れそうにありませんが…。

浅井潤一さんと。